平成十九年三月二十九日、高知県旧本川村寺川から北方に鎌薮谷に沿って敷設されている「林道鎌薮線」を通る。途中、点名「自然子」(一三一九・三㍍)の登山口付近(標高八四〇㍍)で駐車して実地探査をした時のことである。
下車して地面を見ると、石のように身動きもしない蝦蟇蛙(ガマガエル)が道路に蹲っている。その数、無慮三十匹。
驚いたことに、山側の車輪跡の窪みの水溜りに長く連なった卵が見える。その気持ちの悪いことと言ったらない。この卵塊は数㍍以上の紐状になっているという。
蝦蟇蛙達はいっかな動こうとはしない。車が滅多に通らないので生き残っていると思われる。それにこの水は谷から僅かではあるが補給されているらしい。蝦蟇蛙に言わせれば、そのような事は先刻ご承知ということだろうか。
( 平 成 十 九 年 四 月 記 )