平成十八年三月十五日、稀に見る快晴。一点の雲もない。朝は零度近く気温が下がったが、日中は十五度くらいまで上がるという予報。この日、高知では全国に先がけ桜の開花が発表された。平年より十二日早いという。
友人と二人で窪川町の「五在所の峯」(六五八㍍)を目指す。九時、高知市を出発。九時二十分高速道に入り、同五十分須崎市着。ここから国道五十六号線に入り、七子峠を十時十五分に通過し、窪川町金上野の国道横の登り口(標高二八〇㍍)に同四十五分着く。登り口は国道の左側にド派手な案内板があるのですぐ判る。この板には、「大観峰」―五在所ノ峯―」及び見所を書いてあり、行程二㌔(正確には、登山道で一三四一㍍か)、一時間三十分を要するとある。駐車場がないのが残念、道路脇に駐車するが、ここには一台以上駐車ができない。
十時五十五分登山開始。ここから延長五百㍍のカロウト林道があるが、鉄柵があって車では進めない。山に入るなり、いきなりの急斜面に愕く。登山道は一・五㍍と広くよく整備されているが、ここから頂上までの殆どが尾根道の直登である。とくに急斜面の道には、ロープが張られているので、これに掴まって登る。まるで、面河から石鎚山への取っ付きの道、奥工石山のそれに匹敵するほどの難路である。とくに植林地では掴まるものがないので少し危ない気がする程。これが延々と続くのでややしんどい。途中、岩を裂いて生え伸びた木、人体像挿画石がある。
十二時二十五分頂上着。一時間三十分を要した。一等三角点でかなり広い。一九六〇年に設置されたコンクリートの天測台もある。北方は、眼下に窪川町、上空には雪を被った石槌山、天狗高原、鳥形山等が見え、振り返れば、太平洋、興津湾、一礁が目に入るが、春霞みのせいか見えるべき室戸岬、足摺岬は霞んで見ることができなかった。
頂上から東に九十㍍進むと、山伏が護摩修行をしたという神仏の祠がある。さらに九十㍍行くと太平洋戦争時の米軍哨戒所があり、広さは八十㎡、展望の範囲は広大だが、ここでも眺望はよくなかった。十三時二十五分下山開始。降りは張ってあるロープで助かる。五十五分で登り口着。
二年位前?に高知新聞がこの山を紹介し、窪川町が登山道を整備し、売り出し中だという記事があったが、期待したほどのものではなかった。見晴らしのよい日に眺望を楽しむというのが売り物のようだが、この日、われわれにはツキがなかった。ツキがあったら印象は違ったものになったと思う。空気のきれいな秋晴れの時期がよいのであろうか?なお、地元では「五在所山」ともいうらしい。
(平成十八年三月記)