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地滑り地帯の弁財天山

 平成十九年一月二十九日。晴、午後から風強し。

 友人と二人で日高村のグリーンフィールゴルフ場と錦山カントリークラブとの中間に位置する陣ケ森(三四四・三㍍)に登ってから、大花地区の「弁財天山」(三四〇・七㍍)を目指した。水の神でもある弁財天さんが何故山の上に祀られているのか?



大 峠 か ら


詳 細 登 山 地 図

赤 旗 が 弁 財 天 山



十二時六分、陣ケ森駐車地を出発。妹背峠で左折し、同十二分、大花地区への分岐、同二十分、同地区でおばさんから五分位話を聞く。三叉路でゴルフ場に向う左の道を採る。直ぐに「大峠」(おおとう)に来ると、右方に登山口(二九〇㍍)があり、ここで駐車。十二時二十七分の到着である。



登 山 口



十二時三十一分、登山開始。道はかなり荒れており、周囲は自然林だが、直ぐに植林の中へ入る。混合林となって水田跡のような段差がある所で道が消えて藪の中を進む。



人 跡 が な い 薮 道


整 備 さ れ た 参 道



 同四十五分、墓地の上に来て、ここの敷地を通って少し東に行くと三叉路に突き当たる。左折して北に登る。ここからの道は参道でよく整備されている。その内に植林に入るが、左側に墓地が散見される。同五十一分、雑木林。同五十三分、左に鳥居があり、岩川八幡宮の祠がある。



岩 川 八 幡 祠




弁 財 天 神 社 入 り 口


弁 財 天 神 社



 十三時、第二の鳥居、同二分、弁財天神社。参拝を済まし、さらに登っていくと同六分、小さな祠があり、ここを過ぎると直ぐ山頂(三等三角点)である。十三時七分、登山口から三十六分を要した。三㍍四方位の広さで、半分に折れた赤白の直ポールが転がっている。風が強くなって来たので、弁財天神社まで下って昼飯にする。



山 頂 付 近



弁才(財)天は、琵琶を弾く天女の姿で表される。日本では財福の神として弁財天と書かれるようになり、七福神の一つとして信仰されてきた。しかし元来は河川の神(水の神)である。日本三大弁財天として有名な厳島神社(広島県厳島)、宝厳寺(滋賀県琵琶湖・竹生島)、江島神社(神奈川県江ノ島)はいずれも水辺に祀られているのである。



江 島 神 社 の 妙 音 弁 財 天


大 花 地 区 と 北 東 の 山



それが何故、この大花地区では山の上に祀られているのだろうか?全国にも同じような事例は少なくないが、大花地区に限っていえば、それなりの理由があると思う。この地区は地滑り地帯であるため、地下水位が高く地下水が湧出するので、豊富な生活や農業用水を得ることができた。地滑りは災害を起こしたが、水という恵みも齎し、大花地区は有数の米の産地になったのである。ここには「お大師滝」がある。弘法大師が訪ねて来た時に親切にしたので、至る所で水が湧くようになった、という杖立水伝説があるくらいで、水の神を祭神としたことに得心が行くのである。なお、この区域は地滑り防止区域に指定されており、この区域内で地滑り防止を阻害・助長・誘発する行為を行うときは許可を要することになっている。その行為というのは、地下水の誘致、停滞地表水の放流、停滞のり切や切土等である。

十三時五十三分、下山開始。帰路は三叉路からよく整備された氏神参道を大花地区へ下りる。十四時二十五分、三十二分を要した。ここから峠の駐車地まで歩き、地区の十二社神社を参詣した後、再び峠を通り南下して三叉路を左折して妹背峠から国道三三号線に出て、帰宅。



十 二 社 神 社




この山へ登るには、二つのルートがある。一つは、峠からやや藪化した踏み跡を辿り、整備された氏神参道に合流するルート。もう一つは、大花地区の三叉路を左に折れ、直ぐに右折して氏神参道を登るルートである。後者は歩き易く時間的にも早い。

前述した通り、昔の大花地区は有数の米の産地だったが、ゴルフ場建設のために田を売ったという。当時、一反三十万円が相場だったが二百七十万円で売れたらしい。道理でこの地区の家は立派で氏神様の社屋もよく手入れが行き届いていたのだろう。弁財天様は福神で、私共もこのご利益に期待したいところだが?

(平成十九年二月記)