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ウラジロ薮漕ぎの陣ケ森

 平成十九年一月二十九日。晴、午後から風強し。

 友人と二人で日高村のグリーンフィールゴルフ場と錦山カントリークラブとの中間に位置する「陣ケ森」(三四四・三㍍)に登った。臍曲がりの二人だから復路は往路を採らずそのまま北面に急降下したのでやや苦戦を強いられたのである。なお、この山は、「工石山陣ケ森県立自然公園」の吾北村・土佐町境の陣ケ森(一〇一三・三㍍)ではない。



詳 細 登 山 地 図

赤 印 が 車 道 か ら の 登 山 口



 この日、八時二十四分、高知市出発。国道三三号線を西に走り、日高村妹背地区(一八・八㌔)で右折し北上。妹背峠から左折して西に四〇〇㍍進んだ左側の作業道に入り、二〇〇㍍行った登山口で駐車(三一・一㌔)。九時十七分、五十三分を要した。



登 山 口



 九時二十八分、登山開始。いきなり檜の植林に入り西に進む。道ははっきりしていたが、次第に不明瞭になり、放棄された水田の石垣がある付近で道が消えた。左にトラバースしてから道のない尾根筋の直登に入る。同四十八分、コブに来る。ここから樹間から北方にピークが見えるので、これを目標にして進む。




 ウラジロが密集している所を過ぎて、十時五分にまたコブがあるが、さらに北に進むと、同十分、山頂(四等三角点・点名・井ノ峰)着。四十二分を要した。





 山頂は、南北六㍍、東西四㍍位の広場になっており、赤白の直ポールが転がっている。ウラジロが多い。樹間から西方のゴルフ場が見える。

 十時二十五分、下山開始。帰路は往路を採らず、北に向う。車道へ直降下するつもりである。少し下ってから登り返してコブに来る。この辺は西が自然林、東が植林になっており、北西の方向に微かな踏み跡を辿って行く。同三十四分、いつまでも北西に進むのは別の山に入り込むことになるので、ここから意識的に北方向を採り、藪の急降下に入る。辺りは松が多い雑木林。




下草は、群落になったウラジロの密集地帯で、これが足に絡まり歩き難い。古い枯葉が厚く堆積し、葉は互いに寄り掛かって、絡み合い肩の高さになっている。この植物の葉柄は、箸、盆、籠等の材料にするという位のものだから、強固で足で蹴り分けたり踏み潰すことはできない。手で何とか掻き分けながらのろのろと進む。いわゆる恐怖の「ウラジロの藪漕ぎ」である。靴の中には枯葉の断片が詰まっていた。樹間から山並みと下方の車道が見える。

 十時五十五分、ウラジロ密集地を抜けて植林地帯に入った。車道が直ぐそこに見えるので下りれる所まで行ってみたが、車道から垂直一〇㍍位の所で頓挫してしまった。掴まる木がないのでこれ以上降下することができないのである。車道を通過する車から変な目で見られているのが判る。持参のロープを少し上の木に巻き付け垂らしてみたが、三㍍位足らない。道には側溝があって降下地点の足場は極めて不安定で、しかも二階建ての住宅の屋根から降りるようなもので、これは諦める外ない。左に視線を移すと、ここよりは降り易い所があるように見えたので、一度上に登り返し、足場のよい所を探しながらトラバースして行く。ようやく車道の法面にまで小木が生えている所があって、十一時四十一分、ここからようやく車道に降り立った。



殆 ど 垂 直 に 近 い



 トラバースを開始して四十六分、山頂から一時間十六分を要した。ここは林道入口から八〇〇㍍位西に行った所と思われる。駐車地まで七〇〇㍍位、一六分歩いて同五十七分に着いた。

 ここから、北方の大花地区の 弁 財 天 山 」 に登るため、出発。




 この山は、各所にウラジロが繁殖している。とくに、山頂北面の照葉樹林内では今まで経験したこともないような密集した群落を形成している。凄いのになると、古い枯葉が厚く重なり合って、一旦、このトンネルのような濃密な群落の中へ紛れ込むと、登るのは勿論、歩行も殆ど不可能になると云われる。
 なお、「点の記」による登山口は、妹背峠から車道を約五〇〇㍍進んだ左法面から道なしの斜面を約一五〇㍍(十分)と記せられている (↑詳細登山地図参照 )。この地点には、境界杭が打ち込まれており、参考のために、目印を付けた。少し登ってみたが、登り口は六〇度位の傾斜である。この山には登山道というものが殆どない。要所に目印を付けた。

 (平成十九年二月記)