平成十四年二月十五日。高校時代の同級生四人で、なぜか伊野町の「加茂山」(二六一・三㍍)の登山を計画する。
このうちの一人と私とは卒業以来五十余年振りの再会である。このような時、いつも感じることは、同級生は何年経っても変らないということだ。勿論、顔ではない、しぐさ、性格等の印象が不思議なことに昔のままである。彼も私のことをそう思っているに違いない。つまりお互いにあまり進歩していないということか?
さて、当日は、先ず伊野町椙本神社のお参りをし、ここの女将さんのような上品な女性が登山口を教えてくれる。少し東に行ったところの階段から登るが、これは教えてもらわなければわからない。
山道は幅員が二㍍位でよく整備されており、登り易い。しかし道といわず、路肩や畑などがあちこちで猪によって思いっきり掘り起こされているのには愕いた。
緩やかな坂道を四十分も登れば頂上だ。広場のようになっている。展望台があり、ここから見る伊野の街や仁淀川流域の景色がすばらしい。
頂上に「加茂山展望公園」開設の記念碑がある。
『この公園は、永年にわたる町民の熱望により開設されました。(中略)。みんなで大切に利用しましよう。一九九九年四月、伊野町・加茂山に親しむ会』
また毎年四月の第一日曜日を「加茂山の日」としている。試みに「伊野町観光ホームページ」を覗いてみたが、加茂山に関する記載を見つけることができなかった。
帰路は、往路をとらず早稲川方面に降るコースをとる。いたる所にサツマイモ栽培に適した赤土の畑があり、猪除けにドラム缶を横に寝かせて「猪垣」にしている。高さは一㍍足らずで飛び越えそうに思うのだが、猪はこうした段差にぶっつかると、乗り越えようとせずに段差に沿って進む性質があると聞いたことがある。
ここらあたりは緩やかなスロープで遮るものがないので、誠に気持ちがよい歩きができる。絶好のハイキングコースであるが、逆のコースも面白そうだ。
(平成十六年二月記)