平成十九年五月三十一日。快晴。
友人と二人で芸西村最奥地の目高森(めたかもり・七五四・八一㍍・一等三角点)に登ってから、北隣にある香我美町の長者森(ちょうじゃもり・七五八・四六㍍・三等三角点)を目指す。ここら辺りは秘境ともいえる奥地で熊王山や次郎太森等と同じ山塊にあるが、目高森も長者森も登山口と山頂との標高差が殆んどないので尾根の快適な逍遥が楽しめる。これまで登山口に至る道が嫌になるほど長く感じられて、なんとなく行くのを躊躇っていたのである。
この日、六時五十八分に高知市を出発。国道五五号線を東に進み、夜須町で左折して北上、国光を経て羽尾集落の手前まで来た。七時四十四分、ここまで二三・七㌔。
ここで距離計を〇ポイントに合わせる。
ここを左折して県道安芸物部線に入り、一六・四㌔地点で長谷寺分岐、二分後に三叉路に来て右折し林道仲木屋線に入る。二〇・二㌔地点で遂に舗装がなくなった。道が狭くカーブの多いのに辟易する。二一・一㌔地点で再び三叉路だが、右に進む。三分後、四辻のような所へ来たが、これを真っ直ぐ進むと、ヘアピンカーブの右にある目高森の登山口(標高七〇五㍍)に着いた。二一・五㌔。八時五十四分、高知市から四六・二㌔、一時間四十七分を要した。羽尾集落からなんと一時間十分を要したが、これは所要時間の殆んどをここで消費したことになる。やはり名代の悪路といえるだろう。
詳 細 登 山 地 図 |
身支度を整え、九時二分に出発。いきなり植林に入るが、同七分、植林を抜けて自然林に入る。
ここから山頂までの尾根筋の道中は多少のアップダウンはあるが誠に快適な歩きである。途中、所々で展望が開ける処があった。
アカガシ、ナラ、松、アセビ等が多い混合林になったが、風が強く少し寒い。同十七分、植林の中の尾根筋の南の道を進んでいる。尾根の左が自然林、右が桧の植林だが樹齢は若い。この間、自然林と植林が交互に交代する中を進む。
十時二十二分、山頂入口の三叉路に来るが、これを真っ直ぐ行くと三辻森(六七四㍍)を経て安芸市赤野に通じている。この三叉路(以下、頂上分岐という)には山頂への進路を示す木札が吊り下げられている。木札の左から尾根を登ると、同二十五分、山頂である。登山口から一時間二十三分を要した。
ここの山頂は、東西一〇㍍、南北六㍍位の楕円形をしており、広くて堂々としているが、展望は全くきかない。所在は芸西村大字久重乙字ヤマノカミ谷二一六一の二八。三角点は上部表面が削がれたように見える。選点・設置は明治二十六年だが、昭和二十三年に低下改埋されている。この辺りは樫、アセビ、桧、栗、ツツジ、椿等の樹木が多く、一面に落葉が重なり合ってうず高くなっている。
十時三十六分、下山開始。頂上分岐から南に六分行った所にある「アカガシの大木」を見学に行く。この木の由来は有名だから割愛する。
十一時二分、風がなく日当たりのよい処へ来たので、少し早いが昼飯にする。
と、人の声がして二人の中年男性が現れた。風体からして登山者にも見えないので、
「どちらへ?」と聞くと、
「山を見に来た」
と云ったところをみると山主か?そして
「なにもないところだろう」と云った。
「景色のよい処をもう少し伐採してはどうか」と余計な質問をすると、これには直接答えず、
「ここの冬は風が強く寒い。来るなら五月の上中旬がよい」とかわされた。もう六月というのに今日は結構寒いのである。
ふと、山中に下の写真に見られるような立札があったのを思い出した。実は「立入り禁止」の山だったのである。
十一時二十七分にここを出発して登山口に十二時三十四分に着いた。実質一時間二十二分を要したことになる。再び道中の快適な歩きを堪能した。往路と復路に時間差がないのはアップダウンが少ないためであろう。
これから北隣りの「長者森」に向う。